cangiante & chiaroscuro

軍事的天才と言われた皇帝ナポレオンを退位にまで追い込んだプロイセン軍の侵攻。ナポレオンをエルバ島への流刑にする引き金となったプロイセン軍にクラウゼヴィッツという軍人がいました。

彼はフランス軍の強さを分析、解明、模倣し、機動力を規模で塞ぎ勝利へと導きます。後に軍事戦略の古典「戦争論」を書いたのはあまりにも有名です。

経営において、プロイセン軍のような物量と規模をもって火力で押し切るのは潤沢な資源と体力のある大企業ならではの選択です。もちろん経営に限った話ではなく、ひとつの施策を判断するときにも自分たちの立場と状況、リソースは無視できないファクターです。

ここ10年くらいの私たちの事業のひとつとして、ウェブプロモーションのプランニングからディレクション、そして実際の運用まで任せられ責任を全うする機会が度々ありました。

時代の流れも私たちのカラーもあるのでしょうが潤沢な予算を投下したバブリーなプロモーションよりも知恵と工夫を求められる弱者ならではの戦略を指揮することが多いように感じます。

大胆なタレント起用や複数メディアをミックスした大規模なお祭り宣伝も良いと思いますが、クライアントの哲学と文化、想いを第一優先にし、企業のブランドに寄与した設計を採用する傾向にあります。誰のためのプロモーションなのかというのは常に忘れずに心掛けていることです。

設計において、まず第一に考えなくてはいけないのは制約です。物質的なリソースの制約に目が行きがちですが(もちろん大切な視点なのですが)見落としがちなのは心因的な制約です。これをやるのは怖い、ここを超えるのはちょっと、ここはイメージが、、、といった制約をまずは特定します。時間が許されるのであれば心因的な制約を外して一歩飛び越えるようなチャレンジングな提案も対話の中で見出しますが、ほとんどのケースは心因的な制約に寄り添ってデザインしていきます。その上でエッジの効いた芯をつくり、コントラストを演出します。

これは私たちのスタイルであり、勝利パターンではありますが、時代の変化を踏まえてさらに乗り越えていくこともいつも試みています。

最近の話題と言えばZOZOやPayPayのキャンペーン。100万円を100人、総額1億円をプレゼントするというZOZOの前澤さんのツイッターでのお年玉キャンペーンはツイッターのリツイート数560万を超えて世界記録となり世界からも注目を浴びましたよね。PayPayの100億円キャンペーンもストレートでわかりやすくウェブとの相性も良いようです。

他にも視聴者にインパクトを与えたハズキルーペのCMもそうですが、大手広告代理店が難色を示したため社長自ら監督となり制作したことで、結果としてうまくいっているのはまさに個人の時代が反映されていると言えるでしょう。

これらの例を出すまでもなく、時代的にはストレートでわかりやすく余計な演出や化粧が施されていないものが受け入れられているように思います。ZOZOの前澤社長がツイッターで直接ユーザーにアプローチしたり、ハズキルーペの松村会長が監督となって制作したりというようにダイレクトに繋がれるようになった時代。だからこそ、代行業者や広告代理店、クリエイター、デザイナーの意義や役割が改めて問われていると思うのです。

従来の勝利スタイル、勝負パターンから外れる必要はありませんが、私たちは常に時代に問われ変化を求められていることを忘れずにいなくてはなりません。

旧態依然としてる人たちは退場させられていく時代になっていくでしょうから。

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