open your eyes,searchlight on

ウォルター・リップマンによると、私たちは「自分の頭の中にある記号」と「頭の中にある記号に働きかける自分」と「現実の世界」の三角関係で生きているそうです。ギャップを埋める人生ですが、リップマンの考えを採用すると、概念、理念、コンセプト、、、これら「記号」と「現実」を止揚させて擦り合わせていくことが、いわゆるちゃんとしていくということになるのだと思います。

ケーススタディや事例などの事象は事実と思われがちですが、そのまま当てはめてもうまくいきません。ひとつの記号ですからね。なぜ当てはまらないか仮説を立て、要素を抽出し、自分なりに一般化して理論を構築するという訓練が必要です。

ここで大切なのは「現実の観察力」と「記号のストック量」です。両方を高い量で満たすことで世界をフェアに観ることができるようになります。恣意的に見ることができないなら、より丁寧にシームレスに観ていこうという態度です。

ここで記号と定義しているものは2つの概念。ひとつは抽象物。私たち人間が経験した凝縮物です。もうひとつは経験はしていないが情報として得たもの。この2種類の記号が存在し、記号に支配されていることに気づくことがスタートでしょう。私たちが「事実」と呼ぶものは実は頭の中にある概念なのです。

ファーゴシーズン3のラストシーンで引用されるロシアの諺「未来は変えられないけど、過去は変えられる」というのはまさにこういった話でしょう。記号を書き換えるだけで事実というインフォメーションは簡単に上書きされる。過去は自在に変えられるのです。頭の中にアクセスして現実を生きることが少なくなったからですね。もちろん全員がというわけではありません。責任感ある態度として頭の中にある記号と現実世界を擦り合わせていきていくことはありますからね。

記号の運用に関して、サーチライトのようだという例えをされたことがあります。ライトがたったひとつしかないと暗闇を照らす領域が限られてしまう。ライトの精度を上げ、たくさんのライトを持つこと。そしてそのたくさんのライトをネットワーク化していく、ライトを実際に活用していくことで現実世界を力強く生き抜くことができる。

会社においても地に足をつける。実力をつけ、実体作りをするということは実はこのような話が土台になってきます。サーチライト理論にあるように、会社としての確かな目を養うことで生命力を養われるのだと私は考えています。バラバラにされたあらゆるものを「統合」して本来性の復活と解放が求められる時代だからです。

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