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幸福な家庭の顔はお互い似通っているが、不幸な家庭の顔はどれもこれも違っている。

かのトルストイの名著「アンナ・カレーニナ」の冒頭を引用して、ビジョナリーカンパニー3では衰退する企業を紐解いています。

ジム・コリンズによるビジョナリーカンパニーシリーズはいわゆるデータ本。歴史を紐解いて調査した結果、こういった傾向にありましたよというのを事実として示すレポートです(と、私は位置付けています)。

どうやって偉大さを継続していくのか、そもそもどうやって偉大になっていくのか、という1と2のテーマを踏まえて、

どのように衰退していくのか

といったコンセプトで書かれたものがこの第3作目。ネガティブなテーマのように感じるかもしれませんが、、、

1.成功だけを研究していては良い結果をもたらしにくい
2.衰退企業からみる根拠のある希望をもたらすものは何か

という2つの理由から「衰退」について取り扱ったとあります。興味深いのは、冒頭に引用したアンナ・カレーニナの家庭の例にあるように、うまくいく企業の成功パターンは似通っているが、衰退する企業のパターンは様々だという事。多面的な事業の衰退の経過、失敗パターン、多様な劣化の傾向の事例を元にまとめてあります。

確かにいろいろな企業とお付き合いさせて頂く中で、様々なエラーパターンを私たちも共に経験してきました。大切な事は、たとえ衰退に向かっていたとしても、末期に陥らない限り、そこからの回復も事実としてあるということです。希望はあるのです。

多種多様な衰退パターンがあるとは言え、抽象化すれば、傲慢さ、過信、無根拠、無責任、無意味な拡大、一発逆転の追求、士気の低下といった流れが共通しています。まずはこのようなサインが出ていないかを客観的に冷静な目でみることから分析は始まります。

驚くほどの結果でもないのですが、胡座をかかず、本業に勤しみ、謙虚な気持ちでコツコツ励む企業や組織が、永きに渡って栄えているということを改めて歴史が教えてくれます。我々経営者、もしくは組織のリーダーはドクターのようにチーム状態を診るとき、このように問うてみるといいでしょう。

「過去の成功体験に囚われ、自分たちは何でもできると思っていないか」「必然性のない事業展開・拡張を行おうとしていないか」「停滞、後退の原因を外部に求め、自分で責任を引き受けないで逃げていないか」「規律や文化を無視して一発逆転思考に陥っていないか」「真っ直ぐな未来を描かず無根拠な夢物語を追いかけていないか」

衰退という視点で自分なりに書き出してみた問いです。チェックリストとして指針にしても良いでしょう。繰り返しになりますが、キーフレーズとして、、、傲慢さ、過信、無根拠、無責任、無意味な拡大、一発逆転の追求、士気の低下があげられます。この著書の文脈を踏まえて、具体的に私が組織を診る場合、主要なポストにいる人材、もしくはスタッフにこのように聞くようにして状態チェックをしています。

「あなたはどのような仕事をしていますか」

と。自分の肩書きや労働内容、作業や業務のことを話し出したとしたら、不適切な人材と判断します。逆に適切な人材はどう答えるのか、、、その答えはどこかでお会いしたときにお話するとして、ここで大切なことは衰退の警戒信号の最も重要な現象のひとつとして、、、

適切な人材が主要なポストに配置されていない

ということが挙げられます。プロジェクトや事業のチーム編成においての役割や配置、つまりキャスティングによって事業の未来が大きく変わってくるという事もデータで裏付けられているのです。

単なるデータかもしれませんが、偉大なリーダーというものは、学ぶ姿勢をとり続け、なぜ、と執拗に自問自答を繰り返し、会った人から知識や経験を吸収しようとします。歴史を紐解いてみても、偉大な組織のトップは謙虚で物静かで目立たず学ぶ姿勢を忘れないといいます。

もちろんこれはあくまで過去データです。エラーもあればこれからの時代によって変わってくることもあるでしょう。それでも、ひとつ言えるのはどんな時代であっても組織を形作っているものや環境の中心にあるのは人だということです。結局、その人の品性、人格に依存し、器以上のものは出来上がりません。

身も蓋もないように聞こえるかもしれませんが、大切なことは一発逆転を望まず、魔法を求めず、現状を正しくみて一歩一歩丁寧に自分自身を磨いていく事だと私は思うのです。

PS

そう言えば、こんな興味深い記述がありました。

企業は利益の不足で倒れることはない。現金の不足で倒れる。

ラジアー教授の経営を学ぶ学生に向けた印象的なセリフ、、、

「絶対に忘れるな!勘定は現金で払うんだ。黒字でも倒産する事はあるのだから」

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