the ability to discern

「島田さんのリアルと彼らのリアルは違うんですよ」

10年来付き合いのあるクライアントに言われました。曰く、私たちの観ている一手は現実となるリアル。一方、彼らが思っているリアルは現実にはならない(現実として実現する確率の低い)手だと説明してくれました。

夢物語を語るのもいいけどもそれはあくまで空想。

「言葉が悪くなるかもしれないけど…」

と前置きをした上で空想と言うより彼らは単なる妄想に過ぎない!とクライアントは強く指摘していました。

妄想の百手より現実の一手。どちらも〝リアル〟という言葉で表現されるが実体は異なる。私たちの価値はここにあり、だからこそ信頼をして長く付き合っているということを改めて教えてくれたのです(ありがたいことですね)。

「サイトをみても、実際、話をきいても何をやってるか未だによくわからんのですけどね〜」

なんて豪快に笑いながら話してくれましたが「何」をやっているのか、やってくれるのか、納品されるのか、といったcontentsに重きを置くのではなく、私たちとの今までの関係、そして、これからの未来、なによりかけがえのない今というcontextを評価してくれているのでしょう。信頼関係です。

優れたリーダーはcontextの価値をよく理解しています。だからこそ、whatよりwhyを重視する。大手のコンサルティングファームや有名なコーチ、プロデューサーにいかず、私たちを選択して相談にくるくらいですから、しっかりとしたポリシー、価値観、信念を持っていることが多いのも事実です。予定調和では満足しない芯や事業にかける熱を感じることが多いです。ですから、エッジの効いた提案やワクワクするアイデアを持ってきてくれます。社会的にはマイノリティな存在かもしれませんが、小さいゆえの強みをみせてくれるのです。

その時、私たちが心がけていることはリアリティに迫ることです。社会情勢、時代の流れ、大衆感情の影響も考慮しながら、森羅万象、本質を俯瞰してみる。特に大切なことは目の前の人、組織を注意深く観察することです。言葉や仕草、態度だけでなく、身につけているものや選択するもの、本人も気づいていない癖、信じているもの、エネルギーの流れ…雑多なものから重心を捉えることが肝要で、かつシステマチックにできないところでもあります。AIやスーパーコンピュータなどテクノロジーの発展の中で、残された人間の領域なのかもしれません。

スポーツでも芸術でも料理なんかでも匠の目というものが存在します。素人からみたら全く一緒にみえても何をやってるのかわからない、何が違うのかわからない、同じようにみえる。でも、その道のプロからみたら明らかに異なる。その差分を見分けられることこそが人間に残されたプロフェッショナルとしての存在意義なのでしょう。

ちょっとしたアドバイスで大きな変化がある、ちょっと手を加えるだけでより輝きを増す、そんなマジックのような体験を誰しもが経験あるでしょう。もちろん魔法なんてものはなく、そこにあるのは弛まぬ努力と生まれ持った才覚、自分と他者を信頼する精神なのです。

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