looking but not seeing

切り傷からぽたぽたと落ちる血に驚き、止血する。

ジンジンする痛み以上に、滴り落ちた真っ赤な光景に焦りを感じて。気持ちはよくわかる。痛みも光景の悍ましさもよくわかる。

ただ、一歩退いて俯瞰して眺めている自分をここに告白しておきます。現象以上に原因に目を向けてしまうのは仕方がありません。ある種の職業病とも言えるでしょう。私たちの思考フレームであり、パラダイムなのです。

止血しても、傷を癒しても同じことが起こらないとは限りません。むしろいつかの再発は約束されたものです。表面的な症状を抑えることは緊急性も要するし、大切なことなのですが、同時に原因を解明し、コアにアプローチしていくことの重要性を私たちは痛いほどよく知っています。そして、その重要性に気づかずに退場していった人たちのことも。

根本を解決していかないと二次被害を生み出すことやいろんな機会損失を生むことを経験しているからです。事業の生態系において、目の前の症状にフォーカスしがちなのはここで言うまでもありません。

その場凌ぎであるが故に、頑張っても頑張っても我が暮らし楽にならざりという啄木の世界観に浸ってしまう経営者を何人も見てきました。

彼らから相談を受けたときに、真因を突き止め本質にアプローチしていく重要性を共有することに時間をかけ、少しブレイクタイムを設けます。焦る気持ちはよくわかるのですが、本質にアプローチして問題をクリアしていくためには、ある種の「余裕」が必要だからです。私たち独特のホリスティックなビジネス観かもしれませんが、教育や医療、福祉などの現場においてもむしろ最先端な考え方かと思います。

私たちが行っているのは単発的なソリューションではなく永続的なヒーリングに近いからです。目の前の課題をガシガシと解決していくことと同時に全体的な視点を持って適切なハルモニアを目指すことこそが今の私たちには必要なのではないでしょうか。

平成最後の年と言われ、豪雨、豪雪、地震、台風など自然災害の多い今だからこそ原点回帰し、全体性の調和のもと本質を掴んでいくことが私たちリーダーに求められている大切な鍵だと個人的には考えています。

みているようでみていない。「見るんじゃあなくて観ることだ 聞くんじゃあなく 聴くことだ」とはよく言ったものです。

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